89ZXRの思い出


衝撃の峠


NSRに乗る友人とバンディットに乗った私は市街地を走っていた。
NSRに付いていくと府中町の山道へ入っていく・・・
神社の前にバイクを止め、様子を伺っている。

何が起るのかさっぱり分らない?

山道の上の方からバイクの音が聞こえた。
先のカーブに目をやったその時、凄いスピードと理解不能な角度で2台のバイクが現れた。
目の前でUターンし、来た道を駆け上がって行き、先程のカーブに消えていった。

あっけに取られていると友達のNSRが2台のバイクを追いかけだした。
数台のバイクが目の前でUターンを繰り返し、膝をすりながら先のカーブに消えていく・・・
今の自分は、とてもそんな芸当は出来なかった。
自分の手足のようにバイクを扱う彼らが羨ましかった。
その日の晩、『やっぱバイクはレプリカじゃなきゃ!』と思い込み、半年しか乗ってないバンディットを手放す決意をする。

しばらくしてバンディットを購入したSBSに様子を見に行く。
しかし気に入った車両はない。
次にHOH−RS店が目に入る。店舗は小さく雰囲気も怪しい・・
でもレプリカの品揃えは圧倒的に多い。
近づきがたい雰囲気の店舗前に勇気を出してバンディットを止める。
中に居たのは案の定怪しいオヤジとその子分の犬。
恐る恐る中古車に目をやる・・・
あ!ライムグリーンのZXR発見。年式は89か?丸目2灯だ。
タンクに繋がる2本のホースがカッコイイ!!
しかし400ccだ。車検とかあるしなぁ・・・でもでもカッチョエ〜
怪しいオヤジはチラリとバンディットに目をやり15万で買い取るよって言っている。
あ〜どうしよう・・優柔不断を爆裂させ、今日のところは退却しよう。
バンディットに跨り、RS店をあとにした。

既に心はZXR購入に傾いていた・・・
RS店に向かうが、100mほど離れた場所にHOH出汐店がある。
何気に覗いてみるが、レプリカ系はあまり置いてない。
店長らしきオヤジが話し掛けてくる、気になるバイクがなかったので言葉に詰まる。

私 『あ、あの・・このバンディット・・買い取りはいくらですか?』
店長 『ん?、ん〜27万』

なぬ?、RS店のオヤジめ!系列店のくせしてエライ査定が違うじゃないか?
まぁヨシとしよう。思ったより高値が付いたし。
ハナシはトントンと進み、売却を決意する。
途中、RS店で15万の査定を受けていた事がバレ、店長は不服ぎみ(汗)
いや〜な空気が流れたが、その場で25万(ちょっと減った)を受け取り歩いてRS店へ。

こうしてZXR400を購入する。
後で解ったが、RS店のオヤジはレプリカ系が大好きらしい。
たしかに品揃えも豊富だし、店の一番目立つところに展示してある。
ネイキッドのバンディットには興味がなかったのだろう。
(その後HOH出汐店の店長となる、もちろんレプリカ系も出汐店へ)

納車の日・・・
初めて400ccに乗る。バイクの大きさ、パワーに驚いた。
さっそく次の週末には1日大山往復ツーリングへ・・・
直線しかノレてないが、まぁボチボチいこう。

車体とパワーに慣れてきた頃、あの峠に行ってみた。
この前居たバイクは見当たらない。
とりあえず峠を往復してみる・・・・・普通だ、普通にしか走れない(アタリマエ)
直線だけ飛ばしてみて、コーナーはノロリと抜けてみる。
う〜んむつかしい(汗)

さっきから気付いてはいたけど、50ccのNSRが居た。
申し訳ないと思いつつ後ろについて走ってみる。
当然直線は付いて行けるけど・・コーナーは、お〜〜すげ〜の連続。
いままで直線番長だった自分がちょっと恥ずかしい。
これまで4年程バイクに乗ってるのに・・・
バイクの面白味って直線3のコーナリング7なんじゃ?
こりゃ〜面白いじゃん!って感じ。

何度も往復し、NSR50の前を走れるようになった。
250ccのバイク達に混ざっても邪魔にならなくなってきた。
毎週のように峠に通い、往復を繰り返した。
ギャラリーにはいつもこの峠に居るメンバーが・・・
その輪に加わることはなかったが、連帯感みたいなものがあった。

ある時、初めて膝を路面に擦った。何度もジーパンが路面をかすめる。
なかなかサマになってきたようだ、用品店で皮パンとブーツを買い峠を往復する。
流れるリアタイヤを無視しながらギャラリーの前を走り抜ける。
それを見ていた常連風の男が話し掛けて来てくれた。
コーナリングに魅せられたバイク乗りの輪に加わり更に充実したバイクライフとなる。

いつか『レースをやらないか?』と誘われたが、峠を走るのが楽しかったし、
レースなんてお金がかかるって事でしばらく峠を走り続けた。
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